策士の優男はどうしても湯田中さんを落としたい
瑠璃は息を詰めたまま、祐の視線を見つめ返していた。

祐はほんの少しだけ距離を取ると、ふっと笑った。

それはまるで人懐っこい優男の笑顔――けれど、目の奥は全く笑っていない。

「俺が先輩たちを養います。」

瑠璃の目が大きく見開かれる。

「……は?」

祐は淡々と続ける。

「双子の弟さんの学費も、光熱費も、生活費も。先輩がもう無理しなくていいように。」

「ちょ…祐くん、それは冗談でしょ」

瑠璃が焦って笑い飛ばそうとすると、祐はテーブルに肘をつき、身をさらに近づけた。

「俺、本気ですよ。」

「……」

「全部引き受けます。」

その瞳には、甘さと同時に、絶対に引かない強い意思が宿っていた。

「先輩を、他の男に見せたくないんです。」

祐は瑠璃の手をそっと取り、指先に唇を寄せた。

「だから俺に、全部頼ってください。」

瑠璃は息を呑んだまま、声を失っていた。
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