ネコのお話聞き屋さん
ある蒸し暑い夕方、
地下鉄の駅の入り口のわきに子猫がいた。
「え、暑いでしょ!?」
私はとっさに持っていたサーモンピンクのハンディファンを子猫に向ける。逃げない。怖くないのかな。
「水、水。えーと、日傘、ない。
ごめん。普通の傘で良い?」
大通りの歩道は照り返しが強い。ねこちゃんの足が焼けちゃう。私は、
そのネコの足元に赤いタオルハンカチを敷き、直射日光が当たらないように折りたたみの雨傘を立ててあげた。濃いピンクと白のチェックの。
「三毛ちゃんかな。あれ、なんか持ってる?」
子猫の脇にスケッチブックがある。大きめの。まさか「ひろってください」とか?
- お話聞き屋さんです。
「お話、聞き屋さん?」
私はペットボトルの水をフタに注ぎ、子猫に舐めさせる。喉が渇いていたのだろう。ペロッと飲んだ。
「お話聞いてくれるの? あなたが?」
- はい。
子猫はスケッチブックに触っていない。だが、スケッチブックに文字が増えた。手書きの丸文字。黒マジックの。(え、ええ!?)
地下鉄の駅の入り口のわきに子猫がいた。
「え、暑いでしょ!?」
私はとっさに持っていたサーモンピンクのハンディファンを子猫に向ける。逃げない。怖くないのかな。
「水、水。えーと、日傘、ない。
ごめん。普通の傘で良い?」
大通りの歩道は照り返しが強い。ねこちゃんの足が焼けちゃう。私は、
そのネコの足元に赤いタオルハンカチを敷き、直射日光が当たらないように折りたたみの雨傘を立ててあげた。濃いピンクと白のチェックの。
「三毛ちゃんかな。あれ、なんか持ってる?」
子猫の脇にスケッチブックがある。大きめの。まさか「ひろってください」とか?
- お話聞き屋さんです。
「お話、聞き屋さん?」
私はペットボトルの水をフタに注ぎ、子猫に舐めさせる。喉が渇いていたのだろう。ペロッと飲んだ。
「お話聞いてくれるの? あなたが?」
- はい。
子猫はスケッチブックに触っていない。だが、スケッチブックに文字が増えた。手書きの丸文字。黒マジックの。(え、ええ!?)