灯りはそのままに
甘い香りが漂う、華やかなキャンパスからの帰り道、心の底から思った。

都内の女子大に進学したのは、やはり正解だったなぁ⋯⋯と。

同じ大学の友達は、共学を受験して落ちたという子も多かったが。

私は、最初から女子大にしか行きたくなかった。

共学はもう懲り懲りだったから。

計算ミスだったのは、入学式で他の大学の男子からサークルのビラを山のように押し付けられたり、一人で街を歩くと、何かと声をかけてくる人の多さは、とても田舎の比ではないこと。


今日から夏休みだが、帰省する気はない。

地元に会いたい人なんていないもの。

それどころか、会いたくない人ばかりだから⋯⋯。

夏休みは、読書や映画を思う存分楽しもう。

近くの書店で、面白そうな小説をまとめ買いした。

これだけあれば、しばらく楽しく過ごせる。

ゆっくり本を読もうとしたとき、メールの通知音が鳴った。
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