永遠の約束を交わそう
翌朝。


夜の涙の跡を隠すようにして、救護所に立っていた。


目の奥はまだ重く、笑顔を作るのも少しぎこちない。


勇さんは診療台に包帯を運んでいた手を止め、私をじっと見つめる。


「…昨日、泣いたのか?」


慌てて首を横に振る。


 「あ、いや…」


けれど声が震えていて、誤魔化しきれない。


勇さんはそれ以上問い詰めず、小さく笑った。


「そうか。無理に言わなくてもいい」


その言葉に、胸がまた締めつけられた。


どうしてこんなに優しいんだろう。


どうしてこんな人が、命を懸けなきゃいけないんだろう。




< 23 / 83 >

この作品をシェア

pagetop