永遠の約束を交わそう
その時だった。


「美緒!!」


耳慣れた声が轟音を切り裂いた。


振り向くと、煙の向こうから勇さんが駆け寄ってきた。


煤に汚れた軍服姿のまま、私の腕をがっしりと掴む。


「立て! ここにいたら危ない!」


「む、無理……足が、動かない……!」


涙で濡れた目を見て、彼は一瞬だけ眉を寄せた。


次の瞬間、何も言わず私を抱き上げる。


爆撃の衝撃で揺れる街を、彼は迷いなく駆け抜けた。


瓦礫を飛び越え、火の粉を避けながら。


「大丈夫だ、美緒。俺がいる。絶対に離さない」


彼の声は強くて、熱くて、今にも砕けそうな心を必死で繋ぎとめてくれた。

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