純愛初夜、次期当主は初恋妻を一途な独占愛で貫きたい。
第1章 輝く指輪


 朝の光がカーテンの隙間からそっと差し込み、眩しくて目が覚めた。ベッドの上でまぶたをこすると、時計の針は六時半を指していた。

 いつもの時間だ。アパートの小さな部屋に響く目覚まし時計の単調な電子音を止め、ゆっくりと起き上がった。
 大学を卒業してから一年。正社員として働く私は、佐山(さやま)花暖(かのん)は平凡な日々を送ってきた。
 だけど、最近ついた左手の薬指に光る小さな輝きが、胸の高鳴りを感じさせていたが洗面台で冷たい水を顔にかけて目を覚ます。

 鏡に映る自分は、少し疲れた目をしている。
 昨日、遅くまでプレゼン資料の準備をしていたせいだ。でも、今日は化粧でその疲れを隠せばいい。

 だって、今日は彼、婚約したばかりの嵯峨廉斗とデートの日なのだ。鏡の中で、左手の薬指に光る婚約指輪が朝の光を反射してキラリと輝く。

 それを見るたびに、頬が緩み、心がふわっと浮くような気持ちになる。あの夜のことを思い出すだけで、胸が温かくなる。彼の真剣な目、柔らかな声、そして指輪をはめてくれた瞬間の感触――まるで夢のようだった。


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