【失恋同盟】

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「篠原さん、急ぎで箸取ってきてくれない?」


「はーい!」



元気に返事をして、私は屋台の裏手へと走り出す。
始まった文化祭。
2年生は屋台担当で、私たちのクラスは中庭で焼きそばの屋台を出している。

思ったよりも繁盛していて、鉄板の上ではジュウジュウと麺が踊り、ソースの香りが風に乗って広がっていく。

準備した焼きそばの麺も、そろそろ底をつきそう。
みんなが忙しく動いていて、笑い声と呼び込みの声が交差する。


頼まれた割り箸を取りに、教室まで戻る。
廊下のざわめきが遠ざかって、静かな空気が教室の扉の向こうに広がっていた。


扉をそっと開けると、 佐成くんが窓のそばで外を見ていた。



「佐成くん?」



思わず声をかけると、 佐成くんは振り返って笑みを浮かべながら言った。



「月城、焼きそば売れてる?」


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