【失恋同盟】
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体育館裏を後にして、 空き教室へ向かう途中。
2階へ上がる階段で、ばったり会ってしまった。
「京也、まだ帰ってなかったの?」
その声に、足が止まる。
「…麻衣」
名前を口にした瞬間、 胸の奥が少しだけ痛んだ。
「どこ行くの?」
「荷物とりにいくだけだけど?」
そのまま、麻衣の横を通り過ぎようとした瞬間――
右手を、捕まれた。
「ちょっと話したいことあるんだけど」
一段下にいる麻衣は、 普段よりずっと小さく見えた。