【失恋同盟】
佐成くん。
私、佐成くんのことが好き。
佐成くんが心配そうに私の顔を覗き込む。
「ほんとは、まだ高瀬のこと忘れられてない?」
「そう、かも…」
嘘。だけど、そう言ったら――
「篠原、おいで」
佐成くんが私の腕を引いて、ぎゅっと抱きしめてくれる。
久しぶりの佐成くんの匂い。
大きな背中に、そっと手を回す。
好き。ほんとは、ずっとこうしていたい。
でも―― 佐成くんには、気になる人がいるって言ってた。
だから、もう全部終わらせる。
この気持ちも、 このぬくもりも、今日で最後にする。
だから、お願い。
今だけは、抱きしめさせて。