【失恋同盟】
「人を傷つけるの得意だね」
佐成の声が、冷たくて、鋭くて―― 胸に突き刺さった。
そんなつもりじゃなかった。傷つけないように…したつもりだった。
でも、俺の“つもり”なんて、誰かを守るには足りなかった。
佐成がほたるに向ける、あたたかい視線と優しい声。
俺への態度とは、まるで別人みたいだった。
「駿、大丈夫?」
結菜の声にハッとする。
気づいたら、2人はもういなかった。
「駿、帰ろう?」
結菜の覗き込む顔に、ドキッとする。
結菜のことが好きだ。
それだけは、考えても考えても、変わらなかった。