【失恋同盟】



「そこ座って」



そう言われて、保健室の丸椅子に腰かける。

先生はいなかったけど、佐成くんは迷いなく冷凍庫を開けて保冷剤を取り出した。

ハンカチを巻き付ける手つきが、意外と丁寧で。
その姿を見てるだけで、胸が少しだけあったかくなる。



「ほら、目瞑って」



言われるがまま、そっと目を瞑る。



「ホームルームまで時間あるし、ここにいよう」



そう言って、佐成くんが隣に座る。


ガタッと椅子が動く音がして、距離がぐっと近くなる。


< 53 / 286 >

この作品をシェア

pagetop