【失恋同盟】



「…佐成くん、ありがとう」



保冷剤をあてたまま、そっと言葉をこぼす。



「こんくらいいーよ。同盟でしょ」



その一言に、ふふっと笑いが込み上げた。

私、かっこ悪すぎる。
泣きはらした目で登校して、保健室で冷やしてもらって。

でも、なんだか面白い。
佐成くんといると、そう思える。



「篠原は、そうやって笑ってたらいいよ」



その言葉に、保冷剤をそっとはずす。

目の前には、優しい顔で笑ってる佐成くん。

ドキッとした。

心臓が、静かに跳ねる。


さっきまで冷たかったまぶたが、今はじんわり熱い。


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