【失恋同盟】



やばい、休日佐成くん。

これは学校の女子に見つかったら、ただじゃおかないかも…。



「早く行こ!」



そう言って、佐成くんの腕を引っ張って電車に乗り込んだ。

ドアが閉まって、電車がゆっくり動き出す。



「ここ空いてるよ。座って」


「え、いいよ!佐成くんが座って」


「いいから座って」



その言葉に押されて、席に座る。

佐成くんは、私の前でつり革を持って立つ。

その姿が、なんだか申し訳なくて。

でも佐成くんは気にしてないみたいで、窓の外をぼんやり見てる。

その横顔が、静かで、優しくて。

心が、少しだけあったかくなる。


< 71 / 286 >

この作品をシェア

pagetop