令和恋日和。 ~触れられない距離に恋をして~
侑は落ち着いた声で答え、軽く会釈した。初めて会う場なのに、彼の態度はどこか自然体で、周囲の空気を和ませる。芙美は、侑の横顔を見ながら、胸が小さく高鳴るのを感じた。仕事で見せる頼もしさとは異なる、休日のリラックスした魅力が、彼女の心を軽く跳ねさせた。
会話が弾む中、芙美は友人たちのいつもの軽快なトークに笑いながら、侑が自然にその輪に溶け込んでいく姿に驚いていた。彩花が旅行の話を振ると、侑は温泉旅行のエピソードをさりげなく話し、笑いを誘う。美咲が仕事の話を尋ねると、彼は穏やかに、だが的確に答えた。その自然体な姿に、芙美は改めて彼の魅力に気づかされた。
ふと、侑がテーブルの下で芙美の手をそっと握った。指先から伝わる温もりに、彼女の顔がほのかに赤くなる。友人たちの笑い声の合間に、侑の行動により芙美の心臓が軽く跳ねた。
会話の終盤、彩花がにこやかに言った。
「二人ともお似合いだよ。幸せそうで良かった……本当は心配だったんだよ、いろいろ大変だったから。本当に安心したよ」
その言葉に、芙美は照れ笑いを浮かべ「ありがとう」と微笑んで言った。侑も少し頬を赤らめながら頷いた。
「ありがとう」
侑の声は穏やかで、だが心からの感謝が込められていた。芙美は、友人たちの温かな言葉に、胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。
――友達に侑さんを紹介できた。こんな風に、関係が広がっていくんだ。
カフェを出ると、夕陽が街を柔らかく染めていた。オレンジ色の光が、街路樹の葉やビルのガラスに反射し、穏やかな秋の空気を彩る。二人は肩を並べて歩き、足取りは昨日よりも自然で、軽やかだった。