令和恋日和。 ～触れられない距離に恋をして～

　互いの目が合い、静かに手が重なった。ほんの一瞬の、軽い触れ合いだったが、そこには確かな温かさがあった。まだぎこちなさも残るが、その温もりが、芙美の心に深い安心をもたらした。侑の手の感触は、まるで彼女の心にそっと寄り添うようだった。
　街の灯りが二人を柔らかく包み、夕暮れのざわめきが遠くに聞こえる。広場のベンチに座る二人の周りには、静かな世界が生まれていた。告白の予感は、もう現実のものになりつつあった。
　芙美は、侑の手を握る自分の手をじっと見つめた。この瞬間が、まるで新しい物語の始まりのように感じられた。恋愛に慎重だった自分。それでも、侑との時間が、彼女の心に新しい扉を開いていた。
　侑もまた、芙美の笑顔を見つめながら、心の中で確信していた。この気持ちは、ただの偶然ではない。彼女との時間が、彼の日常に特別な色を塗り続けていた。