令和恋日和。 ~触れられない距離に恋をして~


 その夜、アパートのベランダに出た芙美は、夜空を見上げた。星の光が、彼女の心に静かな輝きを投げかける。レストランでの会話、侑の手の温もり、夜の散歩――それらが、まるで心のキャンバスに鮮やかな色を塗るように、彼女を満たしていた。
 ――この人となら、どんな時間も特別になる。
 その思いが、芙美の心に確かな根を下ろしていた。
 同じ空の下、侑もホテルの窓辺で、コーヒーカップを手に夜空を見上げていた。芙美の笑顔、彼女の手の感触、夜の散歩での静かな時間が、頭に浮かぶ。この夜が、まるで新しい物語のページを開くように、二人に甘い予感を残していた。
 甘くて特別な夜が、二人の距離を確かに近づけ、これからの物語をさらに彩っていくのだった。
 
< 62 / 131 >

この作品をシェア

pagetop