残念令嬢、今世は魔法師になる

1、プロローグ

「私の人生って何だったの?」

 古いベッドに体を横たえたまま、死の淵でそんなことを呟いた。

 どこで間違ったのだろう?
 18歳のときに王太子殿下から婚約破棄をされたときから?
 そのあと35歳離れた辺境伯に嫁いだときから?
 ううん、違う。結婚する前だって両親からずいぶん杜撰な扱いを受けていた。

 そう。カイラとしてこの世に生を受けたときから、私の人生は詰んでいたんだわ。

 亡き夫のいた屋敷からずいぶん離れたここには、使用人が常駐していない。
 この家は夫の前妻の息子が受け継いでから、私は用なしとみなされ、この離れの古びた屋敷へ追いやられた。病弱だったせいもあって、外出がほとんどできず、一年のほとんどをベッドの上で過ごした。
 そんな暮らしをもう10年以上続けている。

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