残念令嬢、今世は魔法師になる

19、楽しい女子会

 気の合う令嬢たちとのお茶会なんて、前世にも今世にも縁がなかった。
 こんなに楽しいものだったなんて思わなかった。
 美味しいお菓子と紅茶をおともに、たわいない話で盛りあがる。
 そうしていると、自然と恋の話に発展した。

「ねえ、ここだけの話。好きな人いる?」

 ひとりが紅茶のカップを置いて、そっと切りだした。
 その瞬間みんながぴたりと手を止めて、身を乗りだす。

「気になっている人ならいるわ。でも、とても手の届かない人よ」
「誰?」
「い、言えないわよお」
「王太子殿下?」
「ど、どうしてわかっちゃったの?」

 言い当てられた子は顔を真っ赤にして、焦ったように身をよじる。
 フェデルのどこがいいのか訊かれ、穏やかで優しくて顔が綺麗で声も素敵だと、彼の魅力を次々と上げていった。
 私は彼女の話を聞きながら黙ってスコーンを食べる。

 フェデルはね、女好きなのよ。
 婚約者を捨てて他の女のところへ行く人だからね。

 喉まで出かかったその言葉を、私はスコーンと一緒に紅茶で流し込んだ。

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