残念令嬢、今世は魔法師になる

21、証拠を見つけて原因の特定

 広大な吹き抜けの空間に、天井近くまで届く壁一面の本棚。
 貴族学院最大の中央図書館だ。
 優雅な曲線を描く螺旋階段を、私は急ぎ足で駆けのぼった。

 静寂な自習室にはまばらに生徒がいて、その中のひとりである分厚い本を読む友人に私は背後から声をかけた。

「リベラ」
「あ、ミレア。特別講習お疲れ様」
「うん。あのね、話があるの。カイラの病気のことなんだけど」

 私はノエインから聞いた病名を伝え、カイラの症状と似ていることを説明した。
 ミレアはその病気のことを耳にしたことがあると言い、ふたりでその病気についての本を探して読んでみた。
 そのページには病気についての詳細が記されている。

<メンベリア中毒症>
 メンベリ草に含まれる成分が体内の魔力と反応し、毒素へと変質する。
 魔力を持たない者には無害だが、体内にわずかでも魔力を有していれば影響を受ける。
 長期的な摂取により中毒症状が現れる。
 初期症状は長期間にわたる発熱や倦怠感。進行すると幻覚、神経麻痺、吐血、視力障害など深刻な症状へと悪化し、最終的には死に至る。

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