残念令嬢、今世は魔法師になる
 うーん、これは大変な世間知らずのお嬢様になっているわ。
 このままカイラの記憶が戻らなかったら私はふたたび人生を失敗するところだった。
 だって、ミレアはものすっごくおバカさんなんだもの。

「そろそろ学校にも戻れるとお医者様が言っていたわ」
「無理して行く必要はないよ」
「でも、お友だちができるかもしれないわよ。お泊まり会とか楽しいわよ」
「ミレアがやりたいようにすればいいんだ。つらいことはしなくていいんだよ」

 うん、究極の過保護だわ。だからミレアは勉強ができないのよ。
 もうすぐデビュタントも控えているし、さすがにこのままじゃだめだわ。

「私、学校に行きたい。友だちをたくさん作りたいの」

 私がそう言うと、両親は満面の笑みを浮かべ、母なんて涙ぐんでいた。
 学校の授業についていけるのか不安だという両親に、私は大丈夫と答えておいた。だってカイラとして生きた54年分の知識とひきこもり生活で得た膨大な読書量が助けになってくれるから。

 とは言えないけどね。

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