残念令嬢、今世は魔法師になる

24、王太子の思い

 カイラはその日、リベラと一緒に登校した。
 その姿を見た瞬間、私は思わず息を呑んだ。

 魔法科の制服に身を包んだカイラは、痩せてはいるものの、肌つやはよくなっていた。
 何より驚いたのは、彼女の髪が肩のあたりまでばっさりと切りそろえられていることだった。
 貴族令嬢にとって長い髪は美の象徴であり、家の財力や格式の表れでもある。
 あの両親がそんな大胆な髪型を許すはずがない。

 カイラが書類手続きのために事務課へ行ったあと、私はリベラと少し話した。

「お姉様は黙って切ってしまったの。お父様もお母様もすごく怒っていたけど、お姉様はあまり気にしていなかったわ」
「ええっ……」

 信じられない。
 私がカイラだったときはあの両親に逆らうなんて絶対にできなかったのに。
 今のカイラは本当に変わろうとしているんだ。

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