残念令嬢、今世は魔法師になる
25、それぞれの言えない事情
「さて。盗み聞きのノエインくん。そろそろ出てきていいよ」
バレていた――。
訓練棟の屋根の上で寝転んでいた俺は、フェデルに呼びかけられてそのまま飛び降りた。
軽く風魔法を使って地面に音をさせず着地する。
フェデルはちらりとこちらを見て、笑みを浮かべた。
「魔法学史の授業が面倒だからって、ここでさぼっちゃだめだろ」
「なんで知ってんだよ。あんたと学年違うのに」
「君との付き合いは長いからね」
「友だちじゃないんだろ」
「あれ? 気にしてる? さっき僕が言ったこと」
「別に」
正直、少々もやっとした。
別にフェデルと慣れ合うつもりはないが、かれこれ10年以上の付き合いだ。あれほどはっきり友だちではないと言われると、いい気分ではない。
「そっかあ。ノエインは僕のことが好きなのか」
「黙ってくれ」
「照れるなよ」
「照れるか!」
前言撤回。どうでもいい。
ただの知人レベルにしておく。
バレていた――。
訓練棟の屋根の上で寝転んでいた俺は、フェデルに呼びかけられてそのまま飛び降りた。
軽く風魔法を使って地面に音をさせず着地する。
フェデルはちらりとこちらを見て、笑みを浮かべた。
「魔法学史の授業が面倒だからって、ここでさぼっちゃだめだろ」
「なんで知ってんだよ。あんたと学年違うのに」
「君との付き合いは長いからね」
「友だちじゃないんだろ」
「あれ? 気にしてる? さっき僕が言ったこと」
「別に」
正直、少々もやっとした。
別にフェデルと慣れ合うつもりはないが、かれこれ10年以上の付き合いだ。あれほどはっきり友だちではないと言われると、いい気分ではない。
「そっかあ。ノエインは僕のことが好きなのか」
「黙ってくれ」
「照れるなよ」
「照れるか!」
前言撤回。どうでもいい。
ただの知人レベルにしておく。