残念令嬢、今世は魔法師になる
 フェデルがやけに気持ち悪い笑みを浮かべているので怪訝に思い、彼と目を合わせないように背中を向けた。
 ここで時間を潰すつもりだったが、別の場所へ移動しよう。
 黙って立ち去ろうとしたら、フェデルが呼び止めるように声を上げた。

「そういえばさ。ミレアが腕につけている装飾品、見た?」

 その言葉に足を止める。
 
「ノエインの物とそっくりだよね。もしかしてペアだったりして」
「まさか」

 そう答えるしかない。
 説明のしようがないのでそれ以上何も言わない。
 するとフェデルは肩をすくめて苦笑した。

「そっか、残念。もしかして君たち恋仲なのかなって思ったからさ」
「んなわけねーだろ!」
「あれ? そんなにムキになること?」
「あんたが妙なことを言うからだ」
「違うなら失礼だったね。でも、もし好きな子ができたら教えてね」
「いないし、言わない」

 なんでこんなどうでもいい話をフェデルとしなきゃならないんだ。

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