残念令嬢、今世は魔法師になる

26、あきらめない

 今日は実技試験の日。
 魔力値測定と違って成績に直結する本格的な試験だ。
 朝食には分厚いステーキとふわとろのパンケーキがテーブルに並び、両親がにこやかに励ましてくれた。

「ミレア、無理をしてはいけないよ。そこそこ頑張ればいいんだ」
「そうよ。難しいと思ったらやめてもいいのよ。ミレアが怪我をするようなことになったら大変だもの」

 うん、私のことぜんぜん信用していないね。
 でも気持ちはわかる。今までに高熱で何度も死にかけてきたから、心配だよね。

「わかった。適当に頑張るよ!」

 笑顔でそう答えると、両親は満面の笑みで大きくうなずいた。

 実技試験は5人ずつ試験場へ呼びだされ、先生の前で魔法を披露する。その方法は何でもいい。審査を担当する先生に加え、試験時間を計測する先生と、魔力値を測定する先生がつく。
 難しく考えなくてもいい。自分ができる魔法を披露すればいいだけ。
 私は風魔法で自分の体を浮かせてみせることにした。今のところ風魔法が一番うまくコントロールできるから。

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