残念令嬢、今世は魔法師になる
 フェデルが本当にカイラに好意を抱いていることは言わない。けれど、ふたりが手紙のやりとりをしているのはリベラも知っているから、あくまで事実のみを言ってそれ以上深く触れなかった。

「ところでミレア。試験が終わったことだし、うちでお泊まり会しない?」
「え? いいの?」
「ええ。両親が許してくれたわ。一度やってみたかったの。友だちと夜中までお茶を飲みながらおしゃべりして過ごすの」
「楽しそう!」
「じゃあ決まりね」
「うん」

 私とリベラは手をつないで、急ぎ足で食堂へ向かった。

 あれから、私が偶然にも逆行魔法を使えたことを院長先生も知ることになった。希望すれば魔塔の上級魔法師と面談もできるし、飛び級制度も使えると言われた。
 だけど私は断った。何よりリベラと一緒に過ごしたいというのもあるけれど、やっぱり基礎がしっかりできていないのも気になる。
 地道に頑張りたいと思う。

 今は試験から解放された時間を楽しみたいから、あまりいろいろ考えないようにした。 
 私は特別な存在になりたいわけじゃない。
 ただ、幸せになりたいだけだから。

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