残念令嬢、今世は魔法師になる
「ま、待て。待ってくれ! わかった。悪かった。許してくれ!」

 執事の訴える声が耳に入ると、それが余計に私の怒りに拍車をかけた。
 リベラの人生を奪おうとしたくせに、自分の身に降りかかったら助けを請うなんて愚かでならない。

 醜い。汚い。最低。許せない!

 魔力はますます暴走し、私の意思を超えて氷魔法の勢いが増していく。
 執事は足まで凍りつき、胸もとから首へと氷が迫っていくと、彼は顔面蒼白にして叫んだ。

「や、やめてくれっ! わかった……わかった。全部、白状する! 私は、頼まれたんだ! 妃候補の令嬢たちを排除しろと」

 その言葉に、私の怒りはさらに膨れあがった。

「誰がそんなことを?」

 私は低い声で問いかけた。
 氷はもう執事の顔まで迫っていて、彼は必死の形相で声を上げた。

「ひっ……ジッ、ジッケル伯爵だ!」

 執事はあっさりと白状し、続けた。

「ジッケル伯爵が娘を王太子妃にするために、邪魔な存在を消せと頼まれたんだ! カイラ嬢だけじゃない! 他の令嬢たちも」

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