残念令嬢、今世は魔法師になる

6、そうだ、学校へ行こう

 私は屋敷に帰ってから父と母に何が起こったのか説明した。
 カイラが財布を盗まれるところを見てしまって、つい犯人を追いかけてしまったこと。魔法を使ってみたけどうまくいかなかったこと。魔法師に怒られてしまったことも報告した。
 その上で、自分の考え方が足りなかったと反省して謝罪した。

「本当にごめんなさい。心配と迷惑をかけてしまって」
 
 すると、両親は困惑しながらも怒らず冷静に聞いてくれた。

「今度からまわりに相談するんだよ」
「そうよ。私たちはあなたの親であり、一番の味方なんだから」

 その言葉に胸の奥がじんと熱くなった。
 私は思わず父と母に抱きついて、何度も「ごめんなさい」と「ありがとう」を繰り返した。


 今回のことで唯一よかったと思えたのは、カイラが足に怪我を負うことがなくなったこと。つまり未来が変わったということだ。
 カイラを救いたい。昔の私にふたたび悲惨な人生を歩ませたくない。
 今の私が幸せになれても、カイラが幸せになれないのでは意味がないと思うのだ。
 とはいえ、カイラと接点はないし、もう両親に心配かけたくないから勝手に出かけることなんてできない。
 いったい、どうしたらいいのだろう。

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