残念令嬢、今世は魔法師になる
「魔力値えぐっ!」
「なんであの子が?」
「力を隠していたのか?」
「こんなの不正に決まってるわよ」
「魔力測定盤が壊れていたんじゃないのか?」
「そんなわけないでしょ」
「いったい、どんな手を使ったんだ?」
「卑怯だ!」

 次々と上がる私を非難する声に反応したのは先生だった。

「静かに。魔力測定盤に異常はありません。それにみなさんも見たでしょう? ミレア・エヴァンの魔法を。あれは不正でも何でもなく、彼女から放たれた正真正銘の魔法です」

 周囲がしんと静まる。
 ラナが対戦相手の子の手を引っ張り、起こしながら声をかけていた。

「しっかりしなさいよ」
「ご、ごめん。ラナ」

 対戦相手の子は怯えた表情で私から目を背けたけど、ラナは私を睨んでいた。
 だいたい予想できた。
 きっとラナの命令で私を再起不能なまでに貶めるつもりだったのだろう。

 結局、対戦相手の子はルール違反をしたとして罰を受けることになり、5日間の停学処分になった。
 だけど、命令したとされるラナは証拠がないせいか、何の罰も受けなかった。

 そして私は、このテスト翌日に院長先生の部屋に呼びだされることになった。
 まさか私も罰を受けるのだろうかと思ってびくびくしながら院長室を訪れた。

 そこには院長先生とエメリア先生、他に数人の先生がいて、なぜかノエインの姿もあった。

 いったい、何を言われるのだろうか。

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