初恋相手に再会したら、恋の続きになりまして

プロローグ

仕事の打ち合わせ先の会議室。
資料に目を落とし、顔を上げた瞬間。
――そこにいたのは、かつて初めて手をつなぎ、初めてキスをした相手。

「……久しぶり」
柔らかく笑う彼の目元は、昔と変わらない。

だけど今は、大人の余裕を纏った表情。

神田くん……?
私は思わず、席を立っていた。
まさか、こんなところで再会するなんて思いもしなかった。

「相変わらずだな、三浦」
少し低く、落ち着いた声。

「……どういう意味?」
問い返すと、彼はわずかに口角を上げた。
「驚いたときの表情、昔と同じ」

私は思わず、クスクスと笑ってしまう。
変わらない。いや、変わったのだ。

声も、姿も、そして何より雰囲気が。
少年だった彼は、今では落ち着いた紳士のように立っている。

だけど、その奥に隠れている眼差しは、あの頃、夕暮れの公園で私に向けてくれたものと同じ。
少し照れている。

彼は、初恋の相手だった。

初めてのデートで、公園のベンチに腰掛け、誰にも見られないようにそっと交わしたキス。
そのときの胸の高鳴りも、こっそりつないだ手の温かさも。





全部忘れたはずだったのに。
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