初恋相手に再会したら、恋の続きになりまして
それからは、お互い言葉数が少なくなって、カフェを後にした。

そう、私たちの最後みたいに。
進路が違うから、別れようと話したあの日みたいに。

夜の街の灯りに照らされながら歩く。
隣には滉星。
スーツ姿の肩越しに見える背中は、もう追いかけることもできなかった高校生の頃と被る。

どこか遠い存在に感じる。

理世は自分の胸に問いかける。
(また、見送るの? あのときみたいに、何も言えずに)

滉星がふと振り返る。
「……理世」
その声に、胸の奥が一瞬、強く揺れた。

言葉を返そうとしても、うまく声にならない。
人の流れが二人の間をすり抜けていく。

理世は思わず、彼の袖をぎゅっとつかんでいた。
自分でも驚くくらい、自然に。
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