初恋相手に再会したら、恋の続きになりまして

「神田くん、仕事は忙しいの？」
話題を逸らすように、私は声をかける。

「まあな。でも、三浦も同じだろう？」
少し間を置いて、彼は落ち着いた微笑みを浮かべるだけ。
その微笑みの奥に、昔の少年っぽい光がちらりと見え隠れしている。

「そうね……毎日、忙しくて。でも、なんとかやってる」
口では平静を装って答えるけれど、心臓の音は止まることなく高鳴っている。

「……偶然だな、ここで会うなんて」
「本当にね」
言葉の隙間に、あの頃の距離感がふわりと漂う。

「……今度、仕事終わったら、少し話さないか？」
彼の声は低く、誘いというよりも、大人の提案のよう。
でもその響きに、私の心は知らず知らず跳ねた。

私は軽く息をつき、微笑む。
「……少しだけなら｣