初恋相手に再会したら、恋の続きになりまして

5

滉星の事務所の1階。
まだ開店前のカフェは、柔らかい光が差し込み、静かで落ち着いた空気に包まれていた。

理世は椅子に腰掛けながら、じっと滉星の動きを見ていた。
彼を目で追いながら、心の奥で小さな勇気を振り絞る。

「……あの、滉星の仕事場、見てみたいな」

思わず口に出してしまったその言葉に、自分でも驚いた。


滉星は一瞬、目を丸くして理世を見た。
「……え？」
その驚き顔に、理世は一瞬ドキリとした。

でも、すぐににっこりと笑い、柔らかい声で言った。
「じゃあ、おいで」

胸の奥が、ぎゅっと熱くなる。
嬉しさと、ちょっとした緊張。

「本当に……いいの？」
理世は確認するように小さく尋ねる。

「もちろん」
滉星は軽く肩をすくめながら、でも目が優しい。

理世は立ち上がり、そっと滉星の横に並ぶ。
階段を上るたびに、心臓の鼓動が早まる。
二階のドアが見える。建築事務所の扉は、シンプルで、でもどこか温かみのあるデザインだった。

「ここ……なんだね」
理世は小声でつぶやく。

「うん、俺の仕事場」
滉星はドアを開け、先に中へ入る。
理世もそっと後をついて行く。

事務所の中には、図面や模型、パソコンが並んでいて、光の差し込む窓辺には観葉植物が置かれていた。
理世は目を輝かせて、思わず小さな声で呟く。
「……すごい……」

滉星は少し照れくさそうに笑った。