初恋相手に再会したら、恋の続きになりまして

【ピニャコラーダ】

誕生日、どこ行きたい?

理世はふいに聞かれた言葉に、少し驚いた。

「え?どこか連れて行ってくれるの?」

思わず顔を上げて滉星を見つめる。滉星は柔らかく微笑んで、ちょっと照れくさそうに肩をすくめた。
「理世の誕生日だからな」

その言葉だけで、理世の胸は高鳴った。日々の忙しさや、すれ違いの不安も、この瞬間にはすべて薄れていく。

二人はここ最近、仕事の合間や休日を縫って、お互いのリズムを少しずつ理解し合い、会える時間を増やしていた。

理世は、滉星の家に来ることも多くなった。キッチンで料理を手伝ったり、ソファで一緒に映画を観たり——
まるで半同棲のような居心地の良さ。


「どこに行きたい?」

滉星のその問いに、理世は思わず目を閉じ、心の中で小さく願う。
「どこでもいいよ……滉星と一緒なら」

滉星はその言葉に、ぎゅっと理世の手を握り、さらに微笑んだ。

「じゃあ、最高の一日にしよう」

そう囁かれた瞬間、理世は自然に笑みがこぼれた。
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