双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜
深呼吸して苛立ちを鎮める。
ふと、創世の聖女と初代皇帝リカルドの出会いの場面を思い出した。
水浴びしている彼女に瀕死の重症だった体を治してもらい、惹かれ合うままに愛し合った2人⋯⋯。
(あれ? もしかして、体からはじまる恋だったのか?)
僕は今晩、カリンに想いを告げ、一晩だけ僕の妻になってくれないか頼んでみることにした。
(ダメ元でも頼んでみたら、案外うまくいくかもしれない)
「それからカリンが逃げ出さない確証が持てるまでは、港と国境線を封鎖しろ」
「父上! そこまでなさる事はないかと思います」
「隣に寝ているはずのマリアンヌが朝起きたらいなかった。どうやら、僕を起こさず奇襲攻撃に応戦していたようだ。戻ってきた彼女に心配をかけないで欲しいと伝えたら、彼女は寝顔が可愛くて起こせなかったと僕に口づけをしてきた⋯⋯」
父上が暗唱したのは、『パレーシア帝国はじまりの記憶』の『第3章・僕の聖女様』の一節だ。聖女マリアンヌは愛する人の為には、時には驚くようなことを1人でしてしまう人だった。
「父上、僕は必ずカリンの心を得て見せます」
僕にはカリンしかいない。
『第3章・僕の聖女様』は「恋や愛など無縁の自分が、何度生まれ変わっても愛してしまう女と出会った⋯⋯」という一節から始まる。
僕も何度生まれ変わっても、カリンの魂を追い求めるだろう。
だから、僕は今晩賭けに出てみることにした。
ふと、創世の聖女と初代皇帝リカルドの出会いの場面を思い出した。
水浴びしている彼女に瀕死の重症だった体を治してもらい、惹かれ合うままに愛し合った2人⋯⋯。
(あれ? もしかして、体からはじまる恋だったのか?)
僕は今晩、カリンに想いを告げ、一晩だけ僕の妻になってくれないか頼んでみることにした。
(ダメ元でも頼んでみたら、案外うまくいくかもしれない)
「それからカリンが逃げ出さない確証が持てるまでは、港と国境線を封鎖しろ」
「父上! そこまでなさる事はないかと思います」
「隣に寝ているはずのマリアンヌが朝起きたらいなかった。どうやら、僕を起こさず奇襲攻撃に応戦していたようだ。戻ってきた彼女に心配をかけないで欲しいと伝えたら、彼女は寝顔が可愛くて起こせなかったと僕に口づけをしてきた⋯⋯」
父上が暗唱したのは、『パレーシア帝国はじまりの記憶』の『第3章・僕の聖女様』の一節だ。聖女マリアンヌは愛する人の為には、時には驚くようなことを1人でしてしまう人だった。
「父上、僕は必ずカリンの心を得て見せます」
僕にはカリンしかいない。
『第3章・僕の聖女様』は「恋や愛など無縁の自分が、何度生まれ変わっても愛してしまう女と出会った⋯⋯」という一節から始まる。
僕も何度生まれ変わっても、カリンの魂を追い求めるだろう。
だから、僕は今晩賭けに出てみることにした。