双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜
「それにしても、カルパシーノ王国に密偵が潜んでいるんですか? 誰ですか?」
私は盗聴魔法のついた指輪から全てが漏れていたと思っていた。
隠し通路も密偵から漏れていたのかもしれない、政治の中枢にいる人間だったら機密情報も帝国側に知らせることができる。
「カリンが、このまま帝国にいてくれるなら話しても良いけれど? 僕は君の幸せを願っているけれど帝国側の人間だ。それに、密偵にも気がつけないセルシオ国王に君がこの先も守れるとは思えない」
「私がセルシオを守ります。だから、大丈夫です」
ルイスが私の目をじっと見つめながら、頬に口づけをしてくる。
(なんで? なぜだか彼を突き放すことができないわ)
不思議なことに彼といると、ずっとそんな時を過ごしてきた気になる。
するすると言って良いのか分からない自分の想いをいつの間にか話している。
「カリン、君には難しいかもしれないけれど、もう少し強かに生きてくれ。今際の際にいた父上は、20代のような体を取り戻し生き生きとしている。そんな奇跡を経験しては、父上は君を離そうとしないだろう。僕は皇太子になるけれど、皇帝である父上の動きをどこまで抑えられるかは分からない」
「もしかして、私を逃さないように皇命を受けてますか?」
「あぁ。でも、最初に君の優しさに漬け込んで君を騙して帝国に連れてきたのは僕だ。アリアドネに君との交代を頼んだ⋯⋯昨晩密偵からでアリアドネとセルシオ国王は離婚するとの報告を受けた。思ったより早かったな⋯⋯君は彼に愛されてるね⋯⋯」
私はセルシオを想いに胸がいっぱいになった。
セルシオにとっては会ったばかりで身分を偽っていた怪しい女でしかない私。そんな私のことも彼は気遣ってくれた。
「今、私をセルシオの元に返そうとしてくれてますよね。ルイスは大丈夫なのですか?」
「僕の心配をしてくれているの? 僕は上手くやるから大丈夫。ちゃんと、帝国に安心してカリンが遊びに来られるようにするから。帝国のお菓子は好きだろ」
「私はルイスもレイリンも帝国に住む人たちも好きですよ。また、会いに来ます」
私の言葉に彼は微笑むと、私の額に口づけをしてきた。
私は盗聴魔法のついた指輪から全てが漏れていたと思っていた。
隠し通路も密偵から漏れていたのかもしれない、政治の中枢にいる人間だったら機密情報も帝国側に知らせることができる。
「カリンが、このまま帝国にいてくれるなら話しても良いけれど? 僕は君の幸せを願っているけれど帝国側の人間だ。それに、密偵にも気がつけないセルシオ国王に君がこの先も守れるとは思えない」
「私がセルシオを守ります。だから、大丈夫です」
ルイスが私の目をじっと見つめながら、頬に口づけをしてくる。
(なんで? なぜだか彼を突き放すことができないわ)
不思議なことに彼といると、ずっとそんな時を過ごしてきた気になる。
するすると言って良いのか分からない自分の想いをいつの間にか話している。
「カリン、君には難しいかもしれないけれど、もう少し強かに生きてくれ。今際の際にいた父上は、20代のような体を取り戻し生き生きとしている。そんな奇跡を経験しては、父上は君を離そうとしないだろう。僕は皇太子になるけれど、皇帝である父上の動きをどこまで抑えられるかは分からない」
「もしかして、私を逃さないように皇命を受けてますか?」
「あぁ。でも、最初に君の優しさに漬け込んで君を騙して帝国に連れてきたのは僕だ。アリアドネに君との交代を頼んだ⋯⋯昨晩密偵からでアリアドネとセルシオ国王は離婚するとの報告を受けた。思ったより早かったな⋯⋯君は彼に愛されてるね⋯⋯」
私はセルシオを想いに胸がいっぱいになった。
セルシオにとっては会ったばかりで身分を偽っていた怪しい女でしかない私。そんな私のことも彼は気遣ってくれた。
「今、私をセルシオの元に返そうとしてくれてますよね。ルイスは大丈夫なのですか?」
「僕の心配をしてくれているの? 僕は上手くやるから大丈夫。ちゃんと、帝国に安心してカリンが遊びに来られるようにするから。帝国のお菓子は好きだろ」
「私はルイスもレイリンも帝国に住む人たちも好きですよ。また、会いに来ます」
私の言葉に彼は微笑むと、私の額に口づけをしてきた。