双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜
色気や俗的なものを一切感じさせない清らかなカリン。
 そんな彼女に手を出そうとしている欲深い自分。

 カリンが明らかに下がり眉で、戸惑っているのが分かる。
気がつけば俺は彼女に口づけをして、部屋のベッドに押し倒していた。

「セルシオ! これ以上は心臓がおかしくて死にそうです」
 見下ろしたカリンが小刻みに震えながら、息も絶え絶えに苦しそうにしている。
 俺はこんな天使のような子に欲情して、神々の怒りをかうのではないかという罪悪感に襲われた。

「カリン、正式に君を妻にするまでは何もしないから安心してくれ」
「いえ、全ては私の問題です。私は『絶倫皇子の夜伽シリーズ』で契りについて学んで来たのですが実践経験がないゆえに怖気ついただけの臆病者なのです!」

 俺は彼女が顔を真っ赤にして訴える言葉に絶句してしまった。
 なんだか彼女は物凄い過激なタイトルの小説を読んでいたようだ。
(孤児院にそんな破廉恥な本を寄付するとは⋯⋯)

 俺は彼女に手を出すのは、その本に目を通してからが良いだろうと結論づけた。
 彼女に「こんなものか⋯⋯」と幻滅されてはいたたまれない。

「カリン、どうして君はそんなに俺が好きなの?」
 俺は彼女を抱き寄せながら、その太陽のような瞳を見つめ最大の疑問を尋ねた。

 俺の幸せの為に生き、何度、時を繰り返しても俺の妻になりたいとまで言ってくれたカリン。

 女神のような彼女に泥水を飲んできた自分が惹かれる理由はわかっても、彼女が自分を求めている理由が分からない。








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