双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜
 自国が攻められれば、勝手に自分が狙いだと自害するなんて愚かな主君だ。
カリンは1人残されてどれだけ不安だったことだろう。

「私は創世の聖女の生まれ変わりらしいのです。だから生贄なんて非道なことを考えても神聖力は無くならないとルイスが言ってました」

 生贄になったのに彼女を思い続けるルイス皇子が俺には理解できない。
俺だったら理由はどうあれ自分の命を生贄として扱った彼女を恨んでしまいそうだ。

 何度生まれ変わっても、創世の聖女マリアンヌを愛すると誓った初代皇帝リカルド。
 ルイス皇子は本当に彼の生まれ変わりのようだ。
 俺はもしかしたら運命の2人に入り込んだ間男かもしれない。
 
 それでも、カリンを愛おしく想う気持ちは抑えられなくて、誰かに彼女を譲れるとは思えない。

「カリンが創世の聖女の生まれ変わりで凄い力を持っている子だとしても⋯⋯俺にとっては守りたい女の子なんだ。もう、絶対1人残したりしない。俺は本当にしょうもないな⋯⋯」

「私もセルシオを守りたいです。セルシオはしょうもなくなんかありません。優しくて頼りになる私の旦那様です⋯⋯」

 柔らかく微笑むカリンは本当に彼女の澄んだ心のように綺麗だ。
 
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