双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜

38.アリアお姉様、お会いしたかったです。

 私が時を戻す前も、ルイスは私を好きだったと思うと確信めいた表情で語っていた。

 私はセルシオを失った後は、この世界に興味がなくなっていた。
 再三、対話を求めてくるルイスのことを無視し続けた。

 そして私自身が寝室で彼に献上されると知った日。

 ルイスはセルシオの首を持って楽しそうにしていた。
 私は彼を最低なクズ男と思い生贄にした。

 でも、ルイスの人となりを知った後では、もっと彼と話すべきだったと思う。
 私は移動中の船で2週間セルシオの首を離さなかった。

 きっと、ルイスはそんな私を哀れに思い、城門にかけられる前のセルシオの首を持ってきてくれたのだ。

 そして、彼の高圧的な態度や発する言葉は私が愛読した『絶倫皇子の夜伽シリーズ』の主人公にそっくりだった。

 彼はカルパシーノ王国に密偵も潜ませているようだった。
 姉が私の会話を盗聴していたことも知っていた。
 私の愛読書についても知っていたかもしれない。
 
 
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