双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜

4.私はアリアドネ・シャリレーンです。

「全部⋯⋯燃えちゃった⋯⋯」
 泣き出す子供たちが、可哀想で私は胸が詰まった。

 子供たちとやっとの事で孤児院の建物から出た。
 間一髪といったところか、今、屋根から孤児院の全てが焼け落ちた。

「みんなが生きていることが大事だよ」
 私は手に神聖力を込め、子供たちの火傷を治していく。
 目が眩むほどの光を発し、火傷の跡は一瞬で消えていった。

「カリン⋯⋯神聖力が使えるの?」

 ミレイアが驚いたような顔をして私を見つめている。
 確かに私が回帰前に神聖力を使い方を覚えたのは、セルシオの元に嫁ぐ前だ。
 姉が自分のフリをさせる為に、私に神聖力の使い方を教えた。

 元々この体に宿っていた力だが、私は使い方を知らなかった。

 世界に1人現れるかの貴重な神聖力が使えることは、替え玉ではなくアリアドネである証拠となる。

「孤児院⋯⋯なくなってしまったのね。残念だわ。居場所も無くなってしまったようだから、セルシオ・カルパシーノの元へ行くしかなくなってしまったんじゃない?」

 後ろから艶やかな声が聞こえてきて、振り返ると口元に笑みを讃えたアリアドネがいた。
(まさか、この火事はアリアドネが? 過去にもこうやって孤児院を燃やしたりしたの?)

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