双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜
「そうかもしれませんね。私、この子たちも連れて王宮に行こうと思います」
私は怒りで唇が震えるのを抑えながら言葉を紡いだ。
「それはダメよ。あなたは孤児院育ちのカリンではなくて、王女アリアドネとしてセルシオ・カルパシーノに嫁ぐのよ」
「私は寝台で男を惑わす悪女アリアドネの評判を変えたいのです。居場所をなくした孤児の子たちに住まいを与える慈悲深い聖女アリアドネ⋯⋯素敵だとは思いませんか?」
私は自分でも棘のある言い方をした自覚があった。
子供たちも私がいつもと様子が違うことに気がついて、私の服の裾を心配そうに掴んでくる。
孤児院の子たちには読み書きも教えてある。
素直で良い子ばかりだし、セルシオならば彼らを受け入れてくれると私は確信していた。
「ふっ、結構ないいようね。男を惑わすことが出来てから、私にそんな口を聞くのね。神聖力も使えるようだし、すぐにでも王宮に行ってらっしゃいな」
どうやら私は姉の地雷を踏んだようだ。
過去には姉が丁寧に、神聖力の使い方だけでなく礼法を教えてくれた。
「では、その隣にいるアリアお姉様の想い人という設定にしている騎士を連れていきます。騎士を1人も連れず王宮に出向いては流石に怪しいですから」
「どうぞご自由に!」
茶色の髪に緑色の瞳をしたその騎士は姉に軽く会釈をすると、私の隣に来た。
「ケントリン・モンスラダと申します。これより、カリン・シャリレーン王女殿下にお仕えさせて頂きます」
「私はこれより、アリアドネ・シャリレーンです。間違えないようにしてくださいね」
生まれて捨てられた瞬間から、ただのカリンとして生きてきた私を王女扱いする騎士。おそらく、彼は姉がシャリレーン王国にいた時から仕えていたのだろう。
彼から姉の話を聞けるかもしれない。
前世で私の夫を陥れ、孤児院を燃やしたかもしれない姉。
彼女への復讐心でいっぱいだったが、私は本当は彼女を理解したいと思っていた。彼女を憎まないで済む理由を探していた。
私は怒りで唇が震えるのを抑えながら言葉を紡いだ。
「それはダメよ。あなたは孤児院育ちのカリンではなくて、王女アリアドネとしてセルシオ・カルパシーノに嫁ぐのよ」
「私は寝台で男を惑わす悪女アリアドネの評判を変えたいのです。居場所をなくした孤児の子たちに住まいを与える慈悲深い聖女アリアドネ⋯⋯素敵だとは思いませんか?」
私は自分でも棘のある言い方をした自覚があった。
子供たちも私がいつもと様子が違うことに気がついて、私の服の裾を心配そうに掴んでくる。
孤児院の子たちには読み書きも教えてある。
素直で良い子ばかりだし、セルシオならば彼らを受け入れてくれると私は確信していた。
「ふっ、結構ないいようね。男を惑わすことが出来てから、私にそんな口を聞くのね。神聖力も使えるようだし、すぐにでも王宮に行ってらっしゃいな」
どうやら私は姉の地雷を踏んだようだ。
過去には姉が丁寧に、神聖力の使い方だけでなく礼法を教えてくれた。
「では、その隣にいるアリアお姉様の想い人という設定にしている騎士を連れていきます。騎士を1人も連れず王宮に出向いては流石に怪しいですから」
「どうぞご自由に!」
茶色の髪に緑色の瞳をしたその騎士は姉に軽く会釈をすると、私の隣に来た。
「ケントリン・モンスラダと申します。これより、カリン・シャリレーン王女殿下にお仕えさせて頂きます」
「私はこれより、アリアドネ・シャリレーンです。間違えないようにしてくださいね」
生まれて捨てられた瞬間から、ただのカリンとして生きてきた私を王女扱いする騎士。おそらく、彼は姉がシャリレーン王国にいた時から仕えていたのだろう。
彼から姉の話を聞けるかもしれない。
前世で私の夫を陥れ、孤児院を燃やしたかもしれない姉。
彼女への復讐心でいっぱいだったが、私は本当は彼女を理解したいと思っていた。彼女を憎まないで済む理由を探していた。