双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜
「否定はしません。皇帝陛下、このエメラルドで生計を立てている者もおります。宝石の加工までこちらで致します。どうか正式に取引をして頂けませんでしょうか」

 採掘し、加工し、宝飾品として隣国に売り払う。そこには多くの仲間たちが関わっている。帝国の軍勢がこの地にきて、根こそぎ資源を奪われてしまってはたまらない。

「エメラルドの質も、加工の技術も素晴らしい。でも、余が最もこの地に来て感嘆したのはこの国の民だ」
「国の民?」
俺は皇帝陛下が、カルパシーノ地方を国と言った事が気になった。

「そうだ。この国の民は勤勉で実直な者ばかりだ。皆が王を敬い。ここには国民を憂う王がいる。セルシオ、そなたは王の器だ。余はカルパシーノ王国と正式な貿易協定を結ぶことにした」

 俺は、19歳でセルシオ・カルパシーノになった。


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