双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜
カルパシーノ王国にも危険が迫っていると感じていたのに、私は攻められても剣術で応戦すれば良いと剣術を磨き続けた。
結局、そんなものは何の役にも立たなかった。
隠し通路まで露見して、ルイス皇子により城内に魔力を込めた火を放たれてしまいセルシオと共にカルパシーノ王国は滅びた。
「私、セルシオを心から愛しています。何度、時を繰り返してもあなたの妻になりたいです。あなたを守り抜く事をここに誓います」
出会って間もない私にそんな事を言われても困るだけだろう。
それでも、私は言わずにはいられなかった。
「カリン⋯⋯何か悩んでいる事があれば何でも話して欲しい。ベリオット皇帝陛下は確かに恩人だが、不安があるのならばパレーシア帝国に行く必要はないんだよ」
セルシオが私を強く抱きしめてくれる。
私の愛しているという言葉に対しての返事はない。
それは現段階で、彼は私を愛するまでは至っていないということだ。
セルシオは惚れっぽくもなさそうだし、私も自分が女としての魅力が不足していることを自覚している。
建国祭でレイリン様のような、よく手入れされた優雅で洗練された女性を沢山見た。
そのような貴族令嬢に比べると、私は所作1つとっても付け焼き刃で身につけたものだということが分かってしまう。
私は明日からルイス皇子とレイリン様に同行し、パレーシア帝国に赴くことになった。
レイリン様からベリオット皇帝が原因不明の病で倒れ、衰弱しているので神聖力で治療して欲しいとお願いされたのだ。
ベリオット皇帝はベッドから立ち上がれず、会話もままならない状態だという。
回帰前の死因も本当は老衰ではなく病死だったのかもしれない。
皇帝や国王というのは病気にかからない程の強い人間という設定を強いられるらしい。
だからベリオット皇帝の病気も隠されていたのだろう。
レイリン様は、そのような機密事項を私を信頼して相談してくれたのだ。
私は彼女のお願いを当然受けれた。
「セルシオ! 貴方の恩人が助けを必要としているのに行かない選択肢はありませんよ。妻として夫がお世話になったお礼もしたいですし、しっかり皇帝陛下を元気にしてきたいと思います」
パレーシア帝国までは海路で2週間かかる。
大好きなセルシオに約1ヶ月も会えないのは寂しいけれど、そんな自分勝手な理由で助けられるかもしれない人を放っておくなどできない。
それに、私は剣術を磨くだけではセルシオを守れないことを知っている。もっと、今何が起きていて何をしなければならないのか考えて立ち回らないと同じ運命を辿るだけだ。
私はセルシオを心配させないように、にっこりと笑顔を作った。
「本当に笑顔はカリンの武器だね。とっても可愛い」
唐突に彼に目を合わせられ、言われた言葉に一気に顔が熱くなる。
(可愛いとか女の子が喜ぶような事、セルシオは言っちゃう人だったっけ?)
「あの⋯⋯もしかして決闘の話がお耳に入っていたりしますか?」
私は決闘の時、ルイモン卿に笑顔は私の武器だとか高らかに宣言してしまったことを思い出していた。半ば興奮状態で発した言葉は思い返すと恥ずかしい。
「もちろん、城内で起こったことなのだから報告が入ってるよ。カリン、俺は君のことをとても大切に思っている。危ない真似は絶対にしないと約束して欲しい」
彼が私を大切に思っていると言ってくれて嬉しかった。
彼は妻になる相手ならきっと誰でも大切にしてくれる人だ。
そして、今、考えると決闘を申し込んだのは失敗だった。
下手すればパレーシア王国との関係が悪くなるような行動を私はとってしまった。
セルシオの事を侮辱され頭に血が上って、怒りで我を忘れていた。
(ルイス皇子が全面的にパレーシア王国側が悪いとしてくれたから事なきを得ただけだわ⋯⋯)
「セルシオ、ご心配お掛けして申し訳ございませんでした。貴方に大切に思って貰える妻になれるなんて私は世界一の幸せ者です。さあ、結婚式会場に行きましょうか」
結局、そんなものは何の役にも立たなかった。
隠し通路まで露見して、ルイス皇子により城内に魔力を込めた火を放たれてしまいセルシオと共にカルパシーノ王国は滅びた。
「私、セルシオを心から愛しています。何度、時を繰り返してもあなたの妻になりたいです。あなたを守り抜く事をここに誓います」
出会って間もない私にそんな事を言われても困るだけだろう。
それでも、私は言わずにはいられなかった。
「カリン⋯⋯何か悩んでいる事があれば何でも話して欲しい。ベリオット皇帝陛下は確かに恩人だが、不安があるのならばパレーシア帝国に行く必要はないんだよ」
セルシオが私を強く抱きしめてくれる。
私の愛しているという言葉に対しての返事はない。
それは現段階で、彼は私を愛するまでは至っていないということだ。
セルシオは惚れっぽくもなさそうだし、私も自分が女としての魅力が不足していることを自覚している。
建国祭でレイリン様のような、よく手入れされた優雅で洗練された女性を沢山見た。
そのような貴族令嬢に比べると、私は所作1つとっても付け焼き刃で身につけたものだということが分かってしまう。
私は明日からルイス皇子とレイリン様に同行し、パレーシア帝国に赴くことになった。
レイリン様からベリオット皇帝が原因不明の病で倒れ、衰弱しているので神聖力で治療して欲しいとお願いされたのだ。
ベリオット皇帝はベッドから立ち上がれず、会話もままならない状態だという。
回帰前の死因も本当は老衰ではなく病死だったのかもしれない。
皇帝や国王というのは病気にかからない程の強い人間という設定を強いられるらしい。
だからベリオット皇帝の病気も隠されていたのだろう。
レイリン様は、そのような機密事項を私を信頼して相談してくれたのだ。
私は彼女のお願いを当然受けれた。
「セルシオ! 貴方の恩人が助けを必要としているのに行かない選択肢はありませんよ。妻として夫がお世話になったお礼もしたいですし、しっかり皇帝陛下を元気にしてきたいと思います」
パレーシア帝国までは海路で2週間かかる。
大好きなセルシオに約1ヶ月も会えないのは寂しいけれど、そんな自分勝手な理由で助けられるかもしれない人を放っておくなどできない。
それに、私は剣術を磨くだけではセルシオを守れないことを知っている。もっと、今何が起きていて何をしなければならないのか考えて立ち回らないと同じ運命を辿るだけだ。
私はセルシオを心配させないように、にっこりと笑顔を作った。
「本当に笑顔はカリンの武器だね。とっても可愛い」
唐突に彼に目を合わせられ、言われた言葉に一気に顔が熱くなる。
(可愛いとか女の子が喜ぶような事、セルシオは言っちゃう人だったっけ?)
「あの⋯⋯もしかして決闘の話がお耳に入っていたりしますか?」
私は決闘の時、ルイモン卿に笑顔は私の武器だとか高らかに宣言してしまったことを思い出していた。半ば興奮状態で発した言葉は思い返すと恥ずかしい。
「もちろん、城内で起こったことなのだから報告が入ってるよ。カリン、俺は君のことをとても大切に思っている。危ない真似は絶対にしないと約束して欲しい」
彼が私を大切に思っていると言ってくれて嬉しかった。
彼は妻になる相手ならきっと誰でも大切にしてくれる人だ。
そして、今、考えると決闘を申し込んだのは失敗だった。
下手すればパレーシア王国との関係が悪くなるような行動を私はとってしまった。
セルシオの事を侮辱され頭に血が上って、怒りで我を忘れていた。
(ルイス皇子が全面的にパレーシア王国側が悪いとしてくれたから事なきを得ただけだわ⋯⋯)
「セルシオ、ご心配お掛けして申し訳ございませんでした。貴方に大切に思って貰える妻になれるなんて私は世界一の幸せ者です。さあ、結婚式会場に行きましょうか」