双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜
公式の場だけではなく、常に言動や振る舞いに気をつけなければならない。
(カリンは皇后になるのだから、かなりのレベルが要求されるわ)
「もちろん最善を尽くさせて頂きます。ルイス皇子殿下、私から提案があるのですが聞いてもらえますか?」
私はソファーに座った彼に紅茶を注ぎながら尋ねた。
すると、彼は紅茶に口をつける。
(初めて私の注いだ紅茶を飲んで頂けたわ)
彼は警戒心が強く、婚約者である私のことも信用していなかった。
だから義務のようにメダン公爵家で私と時間をとっても、出された一切の飲食物に手を出さなかった。
「なんだ? それは僕にとって良い提案なのか?」
「はい。カリンは純潔です。彼女を妃として迎えてはいかがでしょうか」
「純潔! 本当か? セルシオ国王は男色だったのか、意外といい奴じゃないか」
私はルイス皇子の言動に思わず吹き出しそうになった。
私は彼女の育ちを聞き、純潔の可能性があると思っていた。
そして、私は今朝カリンに彼女の正体を聞いたことと、昨晩セルシオ国王とどのような時を過ごしたのかを尋ねた。
彼女はセルシオ国王の気持ちが自分に向くまで待つつもりで、彼の体ではなく心が欲しいのだと言っていた。それから、男女の夜の実践経験が皆無なのでホッとしている気持ちもある事まで打ち明けてくれた。
「殿下が皇帝に即位した暁には、カリンは皇后になります。その時に私を皇妃として迎えてください。私が彼女を支えます。そして彼女の安全を考えても他の妻は娶らない選択をしてはどうかという提案です」
これは私にとって今まで理想として想像してきた未来を超える幸せを与えてくれる提案だ。
カリンをお飾りの皇后にして、実権は私が握るのだ。
彼女にはパレーシア帝国で、なんの後ろ盾もない。
皇妃になった私の実家であるメダン公爵家が力を持つことができる。
彼の母君である現皇后陛下も皇妃の1人から毒をもられ、現在療養中だ。
(彼はきっと提案を受け入れるわ)
「君はそれで良いのか? 妃教育を頑張っているといつも言っていたじゃないか」
私は唐突に彼から自分の事を気遣われて驚いてしまった。
いつも自分の頑張りを認めて欲しいと思っていた。
(労ってくれるなんて初めてだわ⋯⋯本当にカリンは彼を変えてしまった)
「私の役目はルイス皇子殿下をお支えする事です」
「ありがとう。僕は君のことを皇族になりたいだけの強欲な女の1人だと誤解していた。本当に僕のことを考えてくれていたんだな」
私は彼の言葉に思わず顔が引き攣ってしまった。
彼に一目惚れして、ずっと彼のことが好きだったはずだ。
でも、カリンが常にセルシオ国王のことを想っているような純粋な気持ちとは違うことに気がついていた。
帝国で誰もが羨むような地位につきたかった。
私の能力を認めて欲しかった。
美しい上に特別な能力を持つ彼の妻になれば、皆が私を羨むと思っていた。
「持ってきましたー!」
その時、優しく澄んだカリンの声がした。
(カリンは皇后になるのだから、かなりのレベルが要求されるわ)
「もちろん最善を尽くさせて頂きます。ルイス皇子殿下、私から提案があるのですが聞いてもらえますか?」
私はソファーに座った彼に紅茶を注ぎながら尋ねた。
すると、彼は紅茶に口をつける。
(初めて私の注いだ紅茶を飲んで頂けたわ)
彼は警戒心が強く、婚約者である私のことも信用していなかった。
だから義務のようにメダン公爵家で私と時間をとっても、出された一切の飲食物に手を出さなかった。
「なんだ? それは僕にとって良い提案なのか?」
「はい。カリンは純潔です。彼女を妃として迎えてはいかがでしょうか」
「純潔! 本当か? セルシオ国王は男色だったのか、意外といい奴じゃないか」
私はルイス皇子の言動に思わず吹き出しそうになった。
私は彼女の育ちを聞き、純潔の可能性があると思っていた。
そして、私は今朝カリンに彼女の正体を聞いたことと、昨晩セルシオ国王とどのような時を過ごしたのかを尋ねた。
彼女はセルシオ国王の気持ちが自分に向くまで待つつもりで、彼の体ではなく心が欲しいのだと言っていた。それから、男女の夜の実践経験が皆無なのでホッとしている気持ちもある事まで打ち明けてくれた。
「殿下が皇帝に即位した暁には、カリンは皇后になります。その時に私を皇妃として迎えてください。私が彼女を支えます。そして彼女の安全を考えても他の妻は娶らない選択をしてはどうかという提案です」
これは私にとって今まで理想として想像してきた未来を超える幸せを与えてくれる提案だ。
カリンをお飾りの皇后にして、実権は私が握るのだ。
彼女にはパレーシア帝国で、なんの後ろ盾もない。
皇妃になった私の実家であるメダン公爵家が力を持つことができる。
彼の母君である現皇后陛下も皇妃の1人から毒をもられ、現在療養中だ。
(彼はきっと提案を受け入れるわ)
「君はそれで良いのか? 妃教育を頑張っているといつも言っていたじゃないか」
私は唐突に彼から自分の事を気遣われて驚いてしまった。
いつも自分の頑張りを認めて欲しいと思っていた。
(労ってくれるなんて初めてだわ⋯⋯本当にカリンは彼を変えてしまった)
「私の役目はルイス皇子殿下をお支えする事です」
「ありがとう。僕は君のことを皇族になりたいだけの強欲な女の1人だと誤解していた。本当に僕のことを考えてくれていたんだな」
私は彼の言葉に思わず顔が引き攣ってしまった。
彼に一目惚れして、ずっと彼のことが好きだったはずだ。
でも、カリンが常にセルシオ国王のことを想っているような純粋な気持ちとは違うことに気がついていた。
帝国で誰もが羨むような地位につきたかった。
私の能力を認めて欲しかった。
美しい上に特別な能力を持つ彼の妻になれば、皆が私を羨むと思っていた。
「持ってきましたー!」
その時、優しく澄んだカリンの声がした。