双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜
ルドナ王国が君主不在で混乱したところを、隣国のバルトネ王国が攻めてきた。

 私の身柄はバルトネ王国に引き渡された。

 外の情報を遮断されたシャリレーン王国で、仲の良い両親に育てられた私は世間を知らなすぎた。

 世界は悪意で満ちていて、男は女をモノのように扱う。

 私は昔から男性が苦手だったけれど、この頃には男という存在が恐ろしく醜い化け物に見える程になっていた。

 バルトネ王国は港に隣接していることで、パレーシア帝国とも海路を使った貿易をしていた。北西諸国は貧しい国が多いが、バルトネ王国は地の利を活かして栄えていた。

「君はまだ幼い。こんな少女に手は出さないから、そんなに怯えなくて良い」
 バルトネ国王はとても人格者に見えた。

「今日からよろしくね、アリアドネ。私のことを母親のように思ってくれて良いのよ」
 クレアラ王妃も優しそうに見えて、私は気を抜いていた。

 

 
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