双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜
 私はある可能性に気がついた。
「隣国のセルシオ・カルパシーノ国王陛下もエウレパ王国の奴隷だったのですよね」
 セルシオ・カルパシーノは国王になり、当然、妃をとるべきなのに妻を取らない。
 彼はエウレパ王国での経験で、女性恐怖症になっているのではないだろうか。

「アレは、本当に美しい子だったな。カタリーナに独り占めされてしまい、余はアレでは遊べていないのだ」

「ふふっ、あの子が今は国王だなんて笑ってしまうわね。入浴のお手伝いが上手な器用な子だったわ」

 私は自分がシャリレーン王国に戻る道筋を見つけた。

 セルシオ・カルパシーノにエウレパ王国を滅ぼさせれば、私は解放される。
 私がカタリーナ王妃のような淫猥な女だと彼に思わせれば、彼は私を娶らないだろう。
 それは、私がクリス皇子を必死に避けようとしているのと同じだ。

 「陛下、私は本当に陛下をずっとお慕いしておりました。陛下のこと満足させられるか不安で仕方がないですが私なりの準備をして今晩お待ちしておりますね」
 エウレパ国王が期待に満ちた目で、私を見た。

 誰もが一目で愛おしく思う聖女とは何なんだろう。
 私はいつだって欲望の捌け口としか見られない。

 私の幸せを唯一願っていた両親はもういない。
 妹のカリンの存在だけが私の心の拠り所だ。

 目の前のエウレパ国王も、私で自分で欲を満たすことしか考えていない。
だから、私も同じように自分の欲を満たす為に彼を利用することにした。



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