双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜

23.ケントリン、服を脱ぎなさい。

 私は寝室でエウレパ国王を陥れる準備をした。

「ケントリン、服を脱ぎなさい」
 私が命令すると彼は全ての衣服を脱ぎ出した。

「何で下まで脱ぐの! 穢らわしいものを見せないで!」
 ケントリンは私の命令を何でも聞く。
 でも、彼は私にとって守るべき国民の1人だ。
 彼を自分の代わりに献上したりしない。

 ただ、私はエウレパ国王に少しでも触れられたら嘔吐しそうな気がしていた。そんな粗相をしたら、この作戦は成功しない。
 
 ノックもせずに扉が開く。
 本当に自分が尊重されていないと感じた。

「アリアドネ、寝巻き姿が本当に色っぽいな」
「陛下、待ち侘びておりましたわ」
 本当に私はケントリンには誰にも見せられない情けない自分を見せている。
 私を崇めていたシャリレーン王国の民が見たら卒倒するだろう。

「なっ、騎士を連れ込んでいるのか?」
「陛下の為でございます。男もお楽しみなると聞きまして用意させて頂きました」
 上着を脱がさせたのは、武装させてないと見せる為だ。

「性別の垣根を超える程に美しい男が好きなのだ⋯⋯」
 エウレパ国王が不満そうな顔をした。

 確かにケントリンは人が振り向くような美しさはない。
 でも、男が化け物のように見える私でも近くにいられる清らかさがある。

「汚れのない子を陛下に味わって欲しかったのです。このお茶を飲んでください。感度が良くなり、天国で遊ぶような気持ちになれますよ」

 私はラリーゼル草をこしたお茶を差し出した。
 この草は幻覚を見せ錯乱させる作用があり強い依存性がある。

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