双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜
 私が地獄のような日々を過ごしていた間、彼女もきっと不遇な環境で過ごしたはずだ。
 それなのに、一点の汚れもないような姿をしている。
 
 人前で泣くのはみっともないから、いつもシーツを被って泣いていた。
 それでも、本当に涙が我慢できない瞬間があることを知った。

 感動の再会を期待していたのに、カリンの反応は冷ややかなものだった。

「私を捨てた両親の記憶……私にはないんです。私にとってはミレイアが私の母であり、この孤児院にいる可愛い子たちが私の家族です」

 彼女と会うのを楽しみにしていた。
 結婚式の日まで限られた時間でも、一緒にいられなかった時間を埋めるように2人で過ごせるのではないかと思っていた。
 
 私には彼女しかいないのに、彼女には自分にはもう家族がいて、私のことはいらないと言っている。

「ケントリン⋯⋯あの孤児院の子たちみんな殺してよ」
 自分でもどうかしていたと思う。
 ひどく虚しい気持ちで、彼女にも私しかいなくなれば良いと思った。

 気が付けば、孤児院は炎で囲まれていた。
 
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