双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜
 私はある可能性に気づいた。
 帝国にカリンの神聖力の強さが目撃されたと言うことは、カリンを帝国に連れて行きたいと提案して来そうだ。

「今日はもういいわ。カリンのところに戻りなさい」
「カリン様から姫様の元に戻るようにと言われました」

 どうやらカリンはもう、ケントリンの使えなさに気がついたらしい。

 彼は幸運なことに割とできる男風の顔をしているので、突っ立ってるだけで実は強くて何かを思慮深く観察していると勘違いしてもらえていた。
(すぐに箱の中身が空であると気がつくとは、流石は創世の聖女ね⋯⋯)

「アリアドネ王女殿下、ルイス皇子が大事な話があるとのことです」
 ノックと共に帝国の使いが現れた。
 
 人に見つからないように案内された道はカルパシーノ王国の隠し通路だった。
 それにしても地下都市ができるのではないかと言うくらい、立派な隠し通路だ。
 これでは、軍勢がこの道を通れてしまう。
 
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