かみかみさま
「かみかみさま」は、
ネコの形をした小さな神様です。
日本のとある小さな神社に祭られています。
かみかみさまは、
小さな願いを叶えてくれる神様なのです。

「かみかみさま、かみかみさま。
どうか、お母さんの病気を治してください」
ある、秋の日、
小さな女の子がおばあさんといっしょに、
かみかみさまのところにやって来ました。
女の子のお母さんは重い病気でずっと病院にいるのです。
好物のうすかわまんじゅうをお供えしてもらったかみかみさまは、
うーーーーーむむむむむ、と、考えました。

そして、おまんじゅうが美味しかったので、
女の子の願いをかなえてあげる事にしました。
かみかみさまは、

あぐ!!
女の子の桃のようなほっぺにかみつきました。

「痛い!」
女の子はわんわん泣き出しました。
「どうして、こんなひどいことをするのですか!」
おばあさんはかんかんになりました。
かみかみさまは、
「え、えー、と、ぼ、ぼく、は」
言葉が噛み噛みだったので答えられませんでした。
「もう二度と来ません!」
おばあさんはそう言って、女の子を抱っこして怒ったまま帰ってしまいました。
かみかみさまは、
ぽつん、と、
その後ろ姿を寂しく見送りました。

次の日。
高校生の男の子がかみかみさまの元を訪れました。
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