下剋上御曹司の秘めた愛は重すぎる
私が好きになったのは、モサモサでダボダボで笑うと可愛い伊吹くんだった。
だけど伊吹くんの素顔を皆が知ったら、きっとモテすぎて大変な事態になってしまうだろう。
実際、バイト先でそれに近いことが起こりかけたことがある。
「前髪がちょっと伸びすぎだし、タオルで巻いて上げてみようか」
バイト先の食堂で、おかみさんが伊吹くんを見ながら考え込むようにしてそう言った。
「すみません、髪は自分で切ってるんですが、前髪を切るのがいつも上手く行かなくて、つい伸ばし気味になっていました……」
伊吹くんはそう言って謝ると、額を出したガテン系でワイルドな感じに大人しくタオルを巻かれていた。その際、メガネを外したら、おかみさんは驚きのあまり固まって絶句していた。
「ちょっ……眩しっ……! 元々よく見るとキレイな顔してる子だとは思っていたけど、ここまでイケメンだったなんて……! 今日はこのままお店に出てみたらどう?」
おかみさんの提案に私は嫌な予感がした。
予感は的中し、お店にいた数人のお姉さん方から声をかけられ、名前や連絡先を聞かれていた。
彼は上手くかわしていたけど、それから数日は「ものすごいイケメンがいる」と評判になって、若い女性が押し掛ける事態になった。
もちろん彼はあのイケメンスタイルで店に出ることはなく、清潔感のため伸びた前髪を切っていたが、いつものモサモサスタイルに戻っていた。
そして噂のイケメンについては「彼はすぐに辞めてしまった」と嘘も方便で事態は収束したのだった。
だけど伊吹くんの素顔を皆が知ったら、きっとモテすぎて大変な事態になってしまうだろう。
実際、バイト先でそれに近いことが起こりかけたことがある。
「前髪がちょっと伸びすぎだし、タオルで巻いて上げてみようか」
バイト先の食堂で、おかみさんが伊吹くんを見ながら考え込むようにしてそう言った。
「すみません、髪は自分で切ってるんですが、前髪を切るのがいつも上手く行かなくて、つい伸ばし気味になっていました……」
伊吹くんはそう言って謝ると、額を出したガテン系でワイルドな感じに大人しくタオルを巻かれていた。その際、メガネを外したら、おかみさんは驚きのあまり固まって絶句していた。
「ちょっ……眩しっ……! 元々よく見るとキレイな顔してる子だとは思っていたけど、ここまでイケメンだったなんて……! 今日はこのままお店に出てみたらどう?」
おかみさんの提案に私は嫌な予感がした。
予感は的中し、お店にいた数人のお姉さん方から声をかけられ、名前や連絡先を聞かれていた。
彼は上手くかわしていたけど、それから数日は「ものすごいイケメンがいる」と評判になって、若い女性が押し掛ける事態になった。
もちろん彼はあのイケメンスタイルで店に出ることはなく、清潔感のため伸びた前髪を切っていたが、いつものモサモサスタイルに戻っていた。
そして噂のイケメンについては「彼はすぐに辞めてしまった」と嘘も方便で事態は収束したのだった。